Model Case & Solution

現代の電子機器の生産工程では、組立工程の90%以上がプリント基板の製造であるといわれます。例えば0603チップ部品を含む数100~2000点の電子部品をハンダ付けする作業は、以下の工程で進められます。

[モデルケース]

ライン左端の印刷機に生基板を投入します。
印刷機が生基板にクリーム状のハンダを印刷します。
印刷後の検査装置(SPI)がパッドごとの印刷体積を確かめます。
最初のチップマウンタが、小さく背の低い部品から順番に部品を搭載して行きます。
次のマウンタが、サイズの大きなICやBGA、コネクタを搭載します。
最後のマウンタは、シールドケースや大型異型コネクタ部品などを搭載します。
リフロー前AOIで部品搭載状態を確認します。
すべての部品が載った基板をリフロー炉で加熱します。ここでハンダが一気に溶けて、全部品が一度にハンダ付けされます。
リフロー後のAOIが部品搭載状態を確認します。
右端に出てきた完成基板は裏返され、反対面も同様の手順で組み立てられます。
最も速いラインで8秒、平均20~40秒の間隔でプリント基板は生産されています。
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[AOIの目的と求められる能力]

基板実装工程の検査には大きく以下の2つの考え方があります。

-[品質保証]

すべての欠陥(defect)が無いことを確認します。後工程に対して自工程の製品品質を保証する考え方です。この場合、AOIはリフロー後工程に導入され、すべての欠陥を検出し修理を支援する能力が求められます。

-[品質管理]

そもそも欠陥を作らないことを目指す考え方です。自工程の製造品質を高度に高めることで、結果的に欠陥は少なくなります。通常AOIは印刷後工程、リフロー前工程、IC搭載前工程などに導入され、実装状態の良否判定に加えて、実装状態の計測、欠陥発生原因を特定するための情報の出力が求められます。


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[リアルタイム検査の重要性]

生産工程が高速化した現在、設備設定の間違いや部材の取り違えなどによって、短時間に非常に多くの欠陥が発生することがあります。これらの欠陥を修理する場合の2次不良発生も大きな課題です。これらを防止するためには、「品質保証」と「品質管理」のための検査を、インラインで且つリアルタイムで行なうことが重要です。AOIには以下の3つのポイントが重要になってきます。
・間違いはすぐに見つけて上流工程にフィードバックする。同じ間違いを繰り返さない。
・生産タクトタイムに対して十分余裕のある高速性。
・リアルタイム検査実行中にも可能な、容易で迅速な操作性。


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[品質保証の要「リフロー後検査」におけるAOIの活用]

「リフロー後検査」は、NG の流出をゼロにする品質保証の要となる検査です。そのため、AOIによるNGの見逃しは一切許されません。例えば少品種大量生産の場合、製造設備と設定条件を最適化していくことによって、この通過率(AOIのOK検出結果を枚数ベースで表した数値を通過率と呼びます)を80%~98%にすることが可能です。NG判定される基板も数が限られています。小規模生産の場合は、条件が安定する以前に生産が終了してしまうため、少しでも怪しい箇所はNGにして、AOIの検出した箇所のみをオペレータが目視して再確認する方法で運用されます。この場合はAOIがNG判定した基板の数が多いため取り扱いに注意が必要です。


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[品質管理の要「リフロー前検査」におけるAOIの活用]

「リフロー前検査」は、リフロー炉内で発生するウキやハンダボール、ブリッジなどの不良は検出不可能なため、品質保証という観点から見るとまったく意味がありません。また、リフロー炉内でハンダが溶ける過程において各部品にはハンダの表面張力によるセルフアライメント効果が発生し、リフロー前の部品の搭載位置ズレやハンダ印刷状態の不具合は、リフロー後では検出はできません。しかしリフロー前であれば、どこにどんな状態で部品を載せたのか、という情報を検出できます。この時点ではハンダは溶けておらず、基板上に不定形なものが無いため、画像処理を行うには最適です。これにより、リフロー前AOIでの通過率は非常に高く、過剰判定が非常に少なくなります。AOIはNGを検出すると、警報を出してオペレータが基板を目視確認します。そして、欠品以外のNGの場合は、ピンセットでの補修が可能であり、また、指定回数以上NGを検出した場合は警告表示することも可能です。この過程で、目視オペレータが同一箇所のNGを何度も修理することになった場合、上流工程の各生産設備担当者に設定の確認を依頼することになりますが、このface to faceの情報のフィードバックが製造品質向上において非常に有効です。このフィードバックにより、AOIをリフロー後で運用した場合の不良率が40ppm程度のラインで、リフロー前にAOIを導入して数ppm以下にまで品質が向上した、という例が数多くあります。
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[印刷後検査]

印刷後検査では、ハンダのカスレ、にじみ、ブリッジ、エグレ、ツノ、体積、マスク全体ズレ、異物落下などが検査項目です。印刷後検査は20年ほど前からありますが、0402などの微細チップ実装やQFN・BGA実装などの底面電極部品において非常に重要性が増してきました。マウンタの精度向上に伴い、ハンダ印刷量の過小、過大はSMT品質不良の発生原因の半分以上を占めるようになっています。検査対象はハンダの量ですので3Dでの計測が必要になります。微細チップを実装する最新のSMTラインでは印刷装置で毎回マスクのクリーニングを行う設定のため、以前ほど印刷不良は発生しなくなりましたが、機種切り替え後の試し刷りの安定性確認や、マスクのクリーニング不良などの発見、印刷状態の変化傾向の把握には、印刷後の3D検査装置はいまや必須の設備です。印刷後検査では、マスク全体のずれや局部的なかすれなどの印刷機の設定に起因する不良を発見した際に、即座に印刷機に改善指示(フィードバック)を自動的に出すことができます。
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[データ作成管理]

自動検査を行うため生産開始前に検査データを準備します。検査データの作成では、部品の形状を表すデータと、基板上のパッドレイアウトを表すデータとを組み合わせて、検査個所を特定します。通常、部品形状はCADデータやマウンタデータから変換して作成します。基板設計データや印刷機のステンシル製作データからパッドレイアウトを取り込みます。次に検査の内容、手順を部品種ごとに定義します。各種の照明での明るさ、色合いや、高さ情報を組み合わせて、検査手法を組み合わせることで作成しますが、部品種ごとにウイザードを使えば簡易に作成できます。一度定義した部品検査データはライブラリに登録することで次の基板のデータ作成に使うことができます。インライン生産が稼働した後は、実際にマウントしている部品形状やハンダ量などをサンプリングしながら、様々なチューニング支援機能を使って、装置上でまたはオフライン装置から検査基準を最適に設定します。複数ラインでの運用には、装置間にまたがってライブラリを共有するグローバルライブラリ機能があります。自動運転では判定値を自動的に生産状況に追従設定することもできます。
2D-AOIでは基板の色、部品の色を使って検査を行うため、インライン生産が稼働した後や供給部品を交換した後でデータのチューニング作業が発生します。これに対して3D-AOIでは、部品やハンダに関する設定の多くに高さデータを使うことで、データチューニングが大幅に簡素化自動化できます。さらに3D-X線検査では表裏面分離したあとの検査したい部分のハンダ接合部分のみが写りますので、このチューニング作業が非常に簡単です。


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[リペア作業支援]

検査装置が見つけたNG箇所を修理するのがリペア作業です。3つのパターンがあります。

[Solution1]

修理作業時に基板上のNG箇所をオペレータに指示するリペアターミナルを使用する方法。
1.AOIが基板上のバーコードや2次元コードを読み取り、この情報と不良検出情報と不良箇所の画像をリペアターミナルに転送します
2.リペアターミナルでは、目視オペレータがバーコードをハンディリーダで読み取り、該当データを呼び出して1箇所ずつ確認します
3.OK基板は後工程に送ります。NG基板は修理ステーションに回します。
4.OK/NGの結果は集計メニューで呼び出せます。いつ誰がどの基板を目視したのかが記録も残ります。
5.WebTracerIIにデータを転送することで、1か月以上の長期保存が可能です。

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[Solution2]

リペアターミナルに拡大顕微鏡を装備し、不良検出箇所の実物を自動的に拡大画面表示で確認する方法。基板の中から不良の部位を見つける手間が無く、より確実な目視確認作業を支援します。

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[Solution3]

検査装置自体を拡大顕微鏡にしてオンラインで目視確認を行う方法。

1.検査装置からのNG箇所画像をネットワークで集中目視管理ターミナルに転送します。
2.専任の目視確認者が一括して画像をみてOK/NGを判定します。(8台までの検査装置を同時に接続可能)
3.目視確認者の判定結果を検査装置に通知。NGの場合、修理用リペアターミナルに検査結果を転送します。
4.検査装置のNG基板はNGバッファに一時退避します。

Solution2では、検査装置からNGとして排出される基板には、真の不良と過剰判定の両方が含まれていましたが、この方法ではNGバッファに貯まった真の不良のみをリペア作業にまわして、後工程へはOK基板のみを渡すことができます。資格を持つ専任目視確認者によってOK/NGの判定を行うので、信頼性の高い確認作業が可能です。また、工数削減にも寄与します。

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[SPC管理]

[固体ID管理]

産業用や航空宇宙系、車載系の生産では、検査の前にバーコード、2Dコードを読み込んでプリント基板のIDを確定します。近年はスマートフォンやタブレット生産でも固体ID管理が行われるようになってきました。ID管理手法にはお客様ごとに様々な運用形態があります。検査装置はIDに紐付けて後段機に対して適切な指示を出すとともに、検査結果をお客様ごとの要求仕様に応じて変換して出力します。IDを読んで検査データを自動的に切り替えたり、IDをサーバーに問い合わせて投入間違いを検出したりする場合もあります。

[SPC管理]

Statistical Process Control(SPC)は、SMT実装ラインの品質を統計的に把握して改善に生かす機能です。SPCサーバーはAOIの検査結果を集積して統計的に分析する機能を提供します。生産ラインごとに、または生産品目ごとの良品率、不良発生箇所、不良種別、不良発生箇所の画像などを日時や生産ロット単位でグラフ化することで、生産品質レポートを出力します。どこにどんな不良が発生しているのかが、一目でわかります。SPCサーバーがWebベースのサーバーであれば、お手持ちのPCから様々な操作が可能になります。

[トレーサビリティ]

産業用や航空宇宙系、車載系の生産では、トレーサビリティが強く求められるようになってきました。お客様によっては数年~10年にわたって検査結果を長期に保存することが求められます。SPCサーバーに集積されたデータを長期保存用データとして保持しておけば、基板IDを入力することで過去の生産履歴を呼び出すことができます。NG箇所の履歴や画像以外に、検査した基板の全体画像を記憶することで、過去にさかのぼってOK品の状態を確認することができます。また、リペア作業での履歴もトレースできるようにすれば、品質トレーサビリティの向上に大きく貢献します。


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