開発者インタビュー|Global Technology Award 2023受賞!3D-CT AXI最新モデル
近年増加している高密度実装基板やEV車用パワーモジュールの品質保証において、X線検査の需要が高まっています。X線検査の需要が高まる中、サキのX線検査装置3D-CT AXIが「X線検査装置」部門でGlobal Technology Award 2023を受賞しました。受賞を記念し、3D-CT AXIの開発チームに3D-CT AXIについて語ってもらいました。
Global Technology Award 2023の受賞おめでとうございます!
全員 ありがとうございます!Awardの受賞は開発者たちの励みになります。とても嬉しいです。
受賞した3Xi-M110はどのような検査装置か教えてください。
M 3D-CT AXIは高速・高精度な3D CT自動X線検査装置です。インライン化を実現する業界最速レベルのスピードを持ちながら、PCBの様々なはんだ不良を3D形状で捉える高い検査品質を特長としています。
なるほど。検査速度と検査性能の両立に強みがあるということですね。
C はい。元々、サキのX線検査装置の3次元画像取得技術および検査性能はインラインCTの中では業界最高レベルという自負がありました。画質と3次元情報量による不良検出の精度はサキの強みで、昔から変わらない優位点です。その一方で検査速度の面では改善の余地がありました。今回受賞いただいた3D-CT AXIの最新モデルは検査速度を業界最速レベルまで引き上げています。
サキのX線検査装置で取得した真の3次元画像
Head-in-Pillow
ボイド不良
挿入端子部品はんだ充填不良
具体的にはどのような改善を図ったのでしょうか?
S 広域撮像ディテクタを採用しました。一度に撮像できるエリアを大幅に拡大したことで、従来の半分の時間で検査できるようになりました。
ディテクタの変更により新たな課題は生じませんでしたか?
S それはもちろんありました。ディテクタが大きくなるということは重くなるということです。重いものを動かす場合、普通は遅くなりますが、それを速くしなければいけなかった。
K その部分をカバーしたのが、制御とソフトウェアの最適化です。どちらも自社開発しているから、最適化による速度向上に成功しました。ディテクタが大きくなると、データ量が倍になり、画像処理に時間がかかります。その部分は全てソフトウェアで最適化していきました。
検査速度を上げたことで検査性能に影響はありませんでしたか?
K たしかにスピードと検査性能はトレードオフのイメージがありますよね。検査性能の維持で肝となる画質を落とさないよう、ここでもソフトウェア・制御の最適化をおこなっています。むしろ制御の改善によって、前より振動が少なく、きれいな絵が撮れるようになりました。
S ガントリを乗せるハードウェアが高品質なのも検出力に安定した結果が出せる理由です。サキは従来からオーバースペックなくらい高品質なハードウェアを使用していたので、今回改良を加えなくても品質を保つことができました。
どちらも自社開発の利点ですね。
そもそもX線検査の需要はどういった業界・検査対象にあるのでしょうか?
M 今は車載系メーカー様からのお声がけが多いですね。自動運転に必要なBGAやEV車のE-Axle、電動コンプレッサーなどでX線検査の需要が高まっているようです。
C あとは、基板の小型化、高機能化が進んでいて積層された部品の検査依頼が増えています。そのような特性を持った検査対象はX線検査でしか対応できないですよね。また、近年は半導体生産が活発なので、半導体検査の需要もまだまだ増えると思っています。サキは半導体検査に適した高精細と高出力の2種類のX線検査装置も開発しているため、広くカバーできるのが強みですね。
サキの装置の良いところはフレキシブルさで、どんなサンプルがきても対応できます。断層枚数も多いし、どこでサーチをすればよいかも分かります。
より複雑な検査対象にはX線検査が向いているということですね。
X線検査の需要はさらに高まると予想される中で、さらなる装置のアップグレードも考えているのでしょうか?
今後の開発目標などあれば教えてください。
M タクト向上と検査能力向上ですね。スピードでいうと、X線検査装置の中では業界最速レベルを達成していますが、AOI、マウンターと比較すると劣るところがあります。これはX線検査業界全体の課題です。インラインでAOI、マウンターのスピードに合わせると検査対象数を絞らなければいけません。つまり、スピードを上げることで、検査可能な対象物が増え、X線の存在感を強めることができます。SMT市場の要求タクトに近づけるため、開発の手を止めるわけにはいけません。
決意のお言葉ありがとうございます!
最後にこの記事を読んでいただいているお客様に伝えたいことがあれば、お願いします。
K これからも新しい機能を開発していきますので、サキと一緒に装置を育ててもらえたら嬉しいです。
色々な国に行って色々なお客様から装置のフィードバックをもらいたいです。
S お客様に寄り添ってきた会社なので、これからも互いに成長していければと思います。
僕も世界を回って装置を売っていきたいので、まずは英語をしゃべれるように頑張ります。
C 装置を買ってよかったと思っていただけるよう、これからも一生懸命頑張ります。
M サキの良いところはお客様の課題に真面目に取り組む姿勢です。それを込みで評価いただけると嬉しいです。
X線開発チームのお話を聞き、高まるX線検査の需要について理解を深めることができました。そして、アワードを受賞したサキのX線検査装置でも発展途上のソリューションであることに驚きました。今後もお客様とともに成長し続けるサキのX線検査装置に注目していきたいと思います。X線チームの皆さん、貴重なお時間をいただきありがとうございました。