TECHNOLOGY

X線検査技術

近年増加している高密度実装基板やEV車用パワーモジュールの品質保証において、X線検査の需要が高まっています。サキはSMT工程の基板・部品検査、パワーモジュール検査、それぞれに適したX線検査装置を開発しています。独自のプラナーCT技術と演算技術により高難易度検査を高速で実現します。

2次元X線検査と3次元X線検査の違い

X線検査は主に2次元(2.5次元も含む)とトモグラフィが主流になっています。 2次元検査はブリッジ、はんだ有無などのシンプルな検査が可能です。シンプルな反面、2次元撮像の画像は上下面の分離ができず、歪みや部品の重なりが発生しやすく、不良か良品かを判断するスキルが求められます。

2次元検査機による取得画像

一方で、3次元CT検査(トモグラフィ)は高精細画像の取得を得意とし、難易度の高いはんだのボイド検査や不濡れ検査にも対応できます。サキの3次元X線検査装置は、独自のプラナーCT技術を用い、検査対象基板を含む空間に対し、数百枚の断層像を計算し3Dデータを生成します。上下面に分離性の高い画像取得により部品の重なりで生じる影や歪みを気にする必要がなく、高い検査精度を誇ります。

真の3次元検査機による取得画像

Head-in-Pillow

ボイド不良

挿入端子部品はんだ充填不良

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サキの独自技術「プラナーCT方式」

撮像フェーズ

サキのX線検査装置は装置中央上部に焦点径の小さなX線源を設置しています。サンプルステージとディテクタステージがシンクロして円を描くように動作し、角度を変えて複数の画像を撮像します。サキ独自の高精度な制御で、エッジがクリアな画像を取得できるようにしています。

独自技術「プラナーCT」撮像方式

3D画像生成フェーズ

角度の異なる複数枚の画像をCT演算式に当てはめ、瞬時に数百枚の断層像を生成します。その断層像を繋ぎ合わせて生成した3次元画像を使用し、不濡れや小さなボイドを見逃さない高精細な検査が可能です。

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「プラナーCT方式」の利点

サキのプラナーCT方式は、分離性の高い画像取得により高難易度の両面実装基板の検査にも対応します。対面搭載部品の影の影響を受けない特性により、パワーモジュールのはんだ検査も高精度に実施できます。

PCB基板

IGBTパワーモジュール

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不良検出力を上げる画像処理技術

基板反りや発生箇所の予測が困難なボイドなどの不良検出には、高い画像処理技術が必要になります。サキのX線検査装置は正確な基板面補正と真の3次元検査によって検査対象を的確に抽出し、微細な不良を見逃しません。

基板面補正技術

基板反りの高さを自動補正する技術です。検査対象が搭載されている基板面を自動サーチしながら画像補正をすることで、正確な高さ計測を実施できます。この技術はパワーモジュール検査において、検査対象であるはんだ面の抽出と基板反り補正にも応用されています。

画像生成技術

複数FOVにまたがる部品のつなぎ目をXYZ方向に補正し、シームレスな3次元画像を生成します。基板全面で3次元情報の取得が可能になります。

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インライン化にも対応する高速検査

X線検査で求められるスピードの一つの指標として“インライン化への対応”があります。 サキのX線検査装置は高精度検査とスピードの両立を実現しており、SMT工程用の3D-CT AXIはインライン運用が可能です。また、高速化の技術はパワーモジュール検査用X線検査装置にも適応されています。

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高速化を実現する3つの特長

高精度ハードウェア設計

広域撮像ディテクタ

一度に撮像できるエリアを大幅に拡大したことで、約50%の撮像スピードアップに成功しました。

独自演算技術

撮像から一貫した画像処理プロセスを最適化し、データ処理の高速化、無駄なウェイティングタイムの削減を実現しています。

同時処理

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追求した使いやすさ、簡単な操作性

高難易度検査も可能な3次元X線検査は一般的に操作が難しい印象を持たれています。特に、検査プログラムの作成やオペレーション工数について懸念されることが多いです。サキのX線検査装置は運用コストの削減にも力を入れています。

AOIとのプログラミング共通化

サキの3D-CT AXIは同じSMT工程に導入されたAOIのプログラム作成データを活用することで、作業工数を削減できます。プログラム管理をAOIと同様のオペレーションで可能にしているのは、高剛性のハードウェア設計と基板全面撮像の技術です。

AOIと共通の操作性

サキの3D-CT AXIはAOIと共通のソフトウェアプラットフォームを搭載しているため、AOIと共通の操作性で簡単に運用ができ、オペレーション工数を削減できます。また、検査結果をAOIとAXIで統合し、同一画面に部品ごとの結果を表示することで、ラインでの一貫した品質管理を実現しています。

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多彩な検査の実現

サキのX線検査装置は多彩なアルゴリズムやフィルター機能の搭載により、幅広い検査対象に対応できます。電圧の異なる2種類のX線源によりSMT工程だけでなく、パワーモジュールやIGBTの検査も高精度に実現します。

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SMT工程検査

IC部品・チップ部品 はんだ不良

BGA はんだボイド不良・不濡れ

挿入部品 はんだ充填不足

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パワーモジュール・IGBT検査

IPC基準に沿った検査
パワーモジュール製品のはんだ層ボイド検査

3層はんだ検査にも対応

サキはX線検査市場の多様なニーズに応えながら、高速、高画質、高品質なX線検査を実現します。