プリント基板検査向けの軽量・コンパクトなインライン型3D-CT方式X線自動検査装置 3Xi-M110を開発
~はんだ付け品質検査の多彩なソリューションをproductronica 2019で展示~
株式会社サキコーポレーション(東京都江東区、代表取締役社長: 小池紀洋、以下サキ)は、このたび、プリント基板検査向けインライン型3D-CT方式X線自動検査装置 3Xi-M110を開発しました。従来から定評ある高剛性と検査精度を維持しながら、従来モデル比で装置重量を40%、フットプリントを25%削減し、撮像速度を30%高めた新製品です。多彩なはんだ付け品質検査の機能に加えて、特にX線の被曝線量の低減を図り、各実装部品の被曝線量シミュレーション機能を備えています。
2019年11月12日からドイツのミュンヘンで開催されるproductronica 2019にて、実機を展示します。
近年、半導体ICの集積度向上に対応して、BGA、LGA、QFNなどの底面電極のパッケージがハイエンドな組込みデバイスに採用される例が増えています。このような部品においては、底面電極のはんだ接合品質を保証するためのX線検査の重要性が増大しています。特に高いレベルの品質保証が求められる自動車や通信分野では、3次元CT方式のX線検査が必須となりつつあります。しかしながらCT方式では高速化が難しく、全数インライン検査の実効性が課題です。
このような課題に対して、3Xi-M110は、サキ独自のプラナーCT技術の市場での実績と知見をベースに、高剛性と撮像精度を維持しながら大幅な小型軽量化を実現して、インライン設備としての運用設置性を高めました。3Xi-M110は、高密度実装されたプリント基板のはんだ接合不良を検出する高品質な検査を実現します。
3Xi-M110の主な特徴は以下のとおりです。
<特長1:装置の高剛性を維持しながら、軽量化・小型化を実現>
3Xi-M110は当社従来モデルBF-X3に比べて、重量を約40%、フットプリントを約25%削減し、設置幅1380mm、装置高1500mm、重量3100kgという仕様で生産ライン内での運用性を大きく向上させています。 工作機械では一般的な鋳物フレームを要所に採用し、装置の軽量化と高剛性を両立しつつ、撮像範囲を最適化して装置を小型化しています。特に需要が多い360(W) x 330(L) mm以下の基板の撮像・検査を高速化しました。さらに2ステージ撮像により360(W) x 510(L) mmまでの基板の検査が可能です。
<特長2:高い撮像精度と高速化の両立>
3Xi-M110では、モーターパワーの最適化と、株式会社マグネスケール製の高精度リニアスケールを備えたダブルモーター駆動システムにより、極めて高い位置決め精度での高速駆動を実現しています。サキ独自のプラナーCT技術の演算アルゴリズムを最新GPU上で最適化することにより、撮像速度を従来モデル比で30%改善しています。
<特長3:被曝線量の低減>
3Xi-M110に搭載した新しいX線管は、画像撮像時のみX線を放射することで最大70%の被曝線量削減が可能です。また新たに開発した被曝線量シミュレータにより、ICごとの被曝線量を予測できます。ユーザーはこれを見ながら、最適な撮像条件と撮像倍率が設定できます。さらに、X線管の交換タイミングを知らせる寿命監視システムを搭載し、効率的なメンテナンス計画の立案を可能としました。
<特長4:サキ独自のプラナーCT技術による多彩な検査機能>
サキ独自のプラナーCT技術が出力する3Dデータから、はんだバンプやフィレットの正確な体積測定と形状再構築が可能になり、はんだ付け品質検査の多彩なソリューションを提供します。3Xi-M110は、電子部品検査、はんだ付け検査、ボイド検査、Head-In-Pillow(HIP)と呼ばれるBGAはんだ接合不良検査(不濡れ検査)、多層はんだ付け検査などのさまざまな検査機能を備えています。
サキの営業担当取締役の飯野政秀は、次のように述べています。
「製品の品質保証が重視される自動車や通信分野の生産現場では、実装技術の進化に伴い、プリント基板の高精度・高品質なX線検査の実効性が重要な課題となっています。サキは、これまで培った2D・3D検査およびX線検査の要素技術の蓄積と実績を通じて得られた知見を活かして、これからも市場のニーズに対応していきます。」
本製品の受注は2020年1月より開始します。
3Xi-M110に関する詳しい情報は、製品情報ページをご覧ください。